ラダックへのご旅行に際して

■持ち物と服装について
■安全対策について
■高山病について


持ち物と服装について

ラダックは標高の高い場所にあり、日射しが強烈なこと、とても乾燥していること、昼と夜、晴れた時と曇りの時の寒暖の差が大きいことなどが特徴の地域です。そのため、ご旅行の際にご持参をおすすめするものは、日焼け対策グッズ、乾燥対策グッズ、防寒グッズなどです。これらは現地での調達も可能ですが、思うようなものが手に入るとはかぎりません。

日焼け対策グッズとしては、帽子、日焼け止めクリームなど。日射しから肌を守るため、夏季でも半袖Tシャツより長袖Tシャツが、半ズボンより長ズボンがおすすめです。

乾燥対策グッズは、顔や身体用クリーム、リップクリームなど。スキンケア製品やヘアケア製品はラダックでも手に入りますが、日本で販売されているような製品を手に入れるのは難しいです。特に女性の場合は、ご自分の肌や髪質に合ったスキンケア、ヘアケア製品をご持参されることをおすすめします。

防寒グッズとして、夏季でも寒暖の差に対応できるように、パーカやフリースなど羽織れる上着をご持参ください。峠越えを含む遠方へのご旅行や、標高の高い地域へのご旅行を予定されている場合には、さらに暖かい衣類をご用意ください。冬季のラダックは、マイナス20度以下にもなる時もあります。冬季にご旅行をされる方は厚手の防寒着や暖かいインナーはもちろん、ニット帽、手袋などもご準備ください。

ご旅行の際のお鞄について、スーツケースとバックパックのどちらがよいかと尋ねられることがあります。ラダックは舗装されていない道も多いので、スーツケースを引きずって移動することが多いと思われる場合、スーツケースの傷みを避けるためにバックパックがよいかもしれません。スーツケースを宿に置いて別のお鞄で観光に出られるご予定なら、スーツケースでよいでしょう。

ラダックを含め、インドの電圧は220〜240V。プラグの形状はB3、BF、B、Cタイプが主流です。電化製品をお使いになる際は、対応電圧をご確認ください。最近の携帯電話やデジタルカメラの充電器なら、たいていこの電圧に対応しています。電圧が対応していたら、プラグを交換すればラダックでも充電できます。なお、ラダックでは急な停電もよく起こりますので、充電が必要な製品は、電気のある時にこまめに充電しておくことをおすすめします。停電時に必要な懐中電灯もお忘れなくご準備ください。

その他のグッズとしては、インドはもちろん、ラダックでも役に立つ、虫よけグッズやかゆみ止めの薬を常備しておくとよいでしょう。


安全対策について

海外では、食事、気候、衛生状況の変化や治安状況などにより、病気や怪我、盗難、交通機関の延滞などのリスクが高まります。万が一の状況にも対応できるように、ご旅行の際は、ぜひ海外旅行保険にご加入の上でお越しください。

ご旅行の前には、外務省在インド日本国大使館厚生労働省検疫所のサイトで発表されている渡航情報や感染症の情報などをあらかじめご確認の上、ご旅行をご検討ください。ラダックがあるインド北部のジャンムー・カシミール州は、パキスタンや中国との未確定の国境に接しています。ラダックは、現在は平穏な状況が維持されており、毎年国内外の多くの旅行客がご旅行を楽しまれていますが、カシミール地方で起こる社会事変などがご旅行に影響を及ぼす可能性も否めないということを、心に留めておいていただければと思います。

また、ラダック内であっても、何らかの理由によるストライキでレーの町中の店舗が一定時間閉鎖されたり、インターネットが回線状況の悪化で突然不通になったりという不測の事態も起こりえます。高地順応期間のことも考慮に入れ、ご旅行を計画される際には、ゆとりのあるスケジュールを組まれることをおすすめします。


高山病について

ラダックの中心地、レーの標高は約3500メートルであるため、ごく軽度のものまで含めると、多くの旅行者の方が高山病になります。健康な方、体力に自信がある方も例外ではありません。個人差はありますが、たいていの場合、ラダック到着後に1〜3日ほどゆっくり過ごされることで高地に順応していきます。しかし、なかには症状が悪化して受診や入院を余儀なくされる方もみえるのが現状です。ご旅行の際には、高山病の予防にご留意いただくことが重要です。

ラダックへのご到着日はできるだけご予定を入れずにご宿泊先でゆっくり過ごし、2日目、3日目も遠方へのご旅行や標高の高い地域へのご旅行は避けたスケジュールを組まれるのがよいでしょう。初日から無理をしたために高山病が悪化したり長引いたりして、その後のスケジュールを変更せざるをえなくなる方も少なくありません。「ラダック到着日に、レー王宮やナムギャル・ツェモに徒歩で行きたいのですが」というご相談をよく受けますが、高山病を患う危険が高いためおすすめできません。

「軽い頭痛がある」「普段より食欲がない」「だるい」などは、高山病の代表的な初期症状です。軽度であってもこれらの症状がある場合は、たとえ日数が経過していても、遠方へのご旅行や標高の高い地域へのご旅行はお控えください。

高地順応が進まず、高山病の症状(頭痛、食欲低下、吐き気、倦怠感、めまい、息切れ、頻脈、手足のむくみ、睡眠障害など)が治まらない場合は、現地の病院で診断をお受けください。レーでは総合病院(ソナム・ノルブー記念病院)の救急窓口で24時間受付を行っていますし、地方の大きな村にもメディカルセンターがあります。病院では内服薬の処方、注射、酸素吸引など、症状に応じた処置が施されます。症状によっては、入院が必要となる場合もあります。

高山病も重度になりますと、高地肺水腫や高地脳浮腫などの症状が現れ、最悪の場合、死に至ることもあります。残念ながら、ラダックでは毎年のように高山病でお亡くなりになる方がいらっしゃいます。前述のような事態を避けご旅行を楽しまれるためにも、高地順応のための慎重な行動で高山病の予防をお心がけください。

高地順応を促すために、次のような点を心がけるとよいでしょう。

●ラダック到着日はゆったり過ごし、高地順応を図る
●多めの水分補給を心がける
●意識的な深呼吸を心がける
●体を締め付ける衣類は着用しない(深呼吸を妨げない)
●前日に十分な睡眠を取る
●飲酒、喫煙を控える
●身体を冷やさないようにする
●高山病の予防薬を服用する

高地が初めてという方、以前も高山病を患ったことがある方は、高山病の予防薬を日本で処方してもらっておくことをおすすめします。持病をお持ちの方は、必ず主治医に標高3500メートルの高地を旅行することをご相談ください。高山病に効く薬として比較的よく用いられるのがダイアモックス(薬剤名:アセタゾラミド)です。現地でもよく処方されるものですが、人によっては強い副作用を伴うケース、アレルギーを発症するケースもあります。持病により服用できない方や、常用薬との飲み合わせの問題等もありますので、日本にてかかりつけの医師や専門医にご相談の上、ご自身の体質や体重に即したものを処方してもらっておくのがよいでしょう。高山病についての相談や薬の処方が可能な病院は全国にあります。日本旅行医学会のホームページから認定医リストをご覧ください。

デリーからラダックへの飛行機は早朝に出発する便が多く、前日の睡眠時間が短くなりがちです。しかし、睡眠不足はあまり高山病によくありません。また、朝の便でラダックに到着し、その日の昼間に深く長い睡眠を摂ることも高山病によくないといわれています(睡眠中は呼吸回数が減るため)。到着日の昼に睡眠を摂る場合は、前日の睡眠不足を補うための軽い昼寝程度に止め、夜に良い睡眠が摂れるようになさるのがよいでしょう。

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