正倉院展でインドやラダックに思いを馳せる

昨日、奈良国立博物館で開催中の正倉院展に行ってきました。丁重に保存されてきた8世紀の美しい宝物たちが、私たちの心を天平の時代へ、そしてシルクロードの世界へと運んでくれます。

8世紀といえば聖武天皇が東大寺を建立、そしてチベットではサムイェー寺が建立され、パドマサンバヴァが大活躍した世紀です。そんな遠い昔の華々しい世界にタイムトリップさせてくれる正倉院展は非常に貴重ですね。また展覧会で一度出陳された宝物は、その後少なくとも10年間は出陳しないと決められているそうですから、歴史や芸術、仏教、シルクロードなどに関心がある人々にとっては一回一回の展示会が見逃せないものです。今年で第67回を迎える正倉院展は、老若男女大勢の観衆で賑わっていました。

今回の展覧会で特に目を引く宝物は、チラシやチケットでもその顔を務めている「紫檀木画槽琵琶」(したんもくがそうのびわ)という弦楽器です。ペルシャが起源のもので、紫檀という木や象牙などが組み合わされたエキゾチックな花の文様が特徴です。これを目にしたとき、インドのタージ・マハルの壁面の文様、そしてラダックにあるアルチ・チョスコル・ゴンパのスムツェクの天井文様などが思い出されました。また、中国に初めて金剛頂経系の密教を伝えたインド僧・金剛智のものと伝えられている「七条褐色紬袈裟」(しちじょうかっしょくのつむぎのけさ)も、私には特に興味深かったです。

shosointen2015

前述の琵琶の文様ですが、上写真の通り人気ブランドの柄にも似ておりまして、そういった現代的でおしゃれな理由も重なり、この宝物に心を奪われる方は多いのではないかと思います。かくいう私も館内のグッズ売場にて、この琵琶の文様をあしらったハンカチとクリアファイルを思わず購入してしまいました。

正倉院展は明日の9日までの開催です。行ける方はぜひ。

行けない方にも朗報です。今夜8時から放送のNHK「日曜美術館」で、今回の正倉院展の特集が再放送されます。ぜひご覧になってください。

NHK「日曜美術館」~至宝にこめた天平の祈り 第67回正倉院展~

 

 

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